POCKET MONSTERS -BLACK FOREST- 序章「セレーネ」

 


「名前は…どうしようかしら……」
「この子は君によく似ている。この子には君のように優しい子に育ってほしい…」

 

 

ここはブラックフォレスト。悪タイプのポケモンだけが立ち入ることのできる場所。
ここにはたくさんの悪ポケモン達が元気に暮らしていた。あの事件が起きるまでは……。
ブラックフォレストには、ポケモン界一の美女とも噂されるブラッキーが住んでいた。その名はセレーネ。
彼女の姿はとても美しく、仲間からも人気だった。もう一人、セレーネに並んで人気だったのが、アブソルのミスフォーだ。
二人は幼い頃からの親友であり、ライバルでもあった。そんな二人は、自分に好意を持つポケモン達の相手をするでもなく、自らパートナーを探すでもなく、いつまで経っても結婚しようとはしなかった。
ある日、一人のブラッキーがこの森にやってきた。名前はエネレス。傷だらけの状態で、この森に逃げ込んで来たという。
セレーネはエネレスに一目惚れした。エネレスもセレーネに恋をした。やがて二人は夫婦となった。
そして、二人の間に子供がうまれた。透き通った銀色の、それはもう美しいイーブイだったという。
家族が増え、幸せも増えた。しかし、そんな平和は長くは続かなかった…。
ミスフォー「相変わらず可愛いわね、アンタの娘」
セレーネ「ふふ、ありがと」
ミスフォー「でも、なんで銀色なのかしら」
セレーネ「あの人が遠くの国でうまれたからじゃないかしら」
ミスフォー「そういえば、その旦那。どこいったのよ」
セレーネ「ちょっと用がある…って言ってどこかに」
ミスフォー「あ、噂をすれば、帰って来たみたいね」
セレーネ「あなた! おかえりなさ……」


バタッ


そこに現れたのは…


セレーネ「あ、あなた!?あなた!!」


あの時と同じ、傷だらけのブラッキーだった。


エネレス「に……げろ…」
セレーネ「え…?」
エネレス「早くここから逃げろ!!!」
セレーネ「あなた…!?一体何が…」


ダン!


ミスフォー「なっ?!!」
???「ったく、しぶといのよ、雑魚のくせに…」


謎のポケモンから放たれた光線はエネレスの体を貫いていた。


セレーネ「いっ……」


「いやあああああああああああああぁぁ!!!!!」


ポケモン達「にっ…逃げろおおぉ! 妖精だ!! 妖精が攻めてきた!!」
ミスフォー「妖精…!? でも、この森には悪タイプしか入れないはず……!」
???「こいつについて行ったら簡単だったわ」

 

見たこともないそのポケモンは、動かなくなったエネレスを横目で睨みながらそう言った。


ミスフォー「そんな……」
???「ねぇネメシィ~。こんな奴らさっさと片づけちゃおうよ~」
ネメシィ(ニンフィア)「うるさいわねメルディ。言われなくてもやるわよ」
メルディ(エルフーン)「アンタいつもとろいのよ。早くして」
ネメシィ「相変わらず生意気な小娘……ムーンフォース!!」
ミスフォー「セレーネ! 逃げて!!」
セレーネ「あなた…あなた……!」
ミスフォー「セレーネ!! しっかりして!!」
セレーネ「!!」
ネメシィ「終わりね!!」
セレーネ「ミスフォー! この娘をお願い!!」
ミスフォー「あなた何を!?」
セレーネ「わたしはここであの人達を足止めするわ! だからあなたはこの娘と逃げて!!」
ミスフォー「馬鹿なこと言わないで!! 一緒に逃げるのよ!」
セレーネ「あなたはわたしの最高の親友よ… 今までありがとう……」
ミスフォー「セレーネ!!!!」
セレーネ「…………!」
ネメシィ「こんな時に願い事? もう諦めたようね!!」
セレーネ「バークアウト!!!」
ネメシィ「きゃっ!!」
メルディ「もー! なによーっ!!」
ミスフォー「セレーネ!」


それが、私の父と母の最期だった…。


ドカアアアァァンッ


ミスフォー「(振り向いちゃだめ! 逃げなきゃ!! この娘を守らなきゃ!!!)」
メルディ「みぃつけた☆」
ミスフォー「!!!」
メルディ「バイバイ!」


タァンッ!!


ミスフォー「……セレー…ネ…」
セレーネ「………………」
ミスフォー「ごめん………」バタッ

 


「だから君の名前からとってこの子には…」
「セレネーラと名付けよう」
「セレネーラ…いい名前ね…!」

 


ミスフォー「んっ…うぅ………」

 

目が覚めた時には、眩い月の光が森の木々を照らしていた。


ミスフォー「!! あたし…助かったの…?」


「っ!!」


願い事…。母が最後に残した奇跡だった。


ミスフォー「最後の最後まであたし達のことを……」
ミスフォー「!! セレネーラ!? セレネーラはどこ!?」
ミスフォー「!!!!!!」

 

そこに立っていたのは

 

ミスフォー「セレーネ……?」

 

母にとてもよく似た

 

ミスフォー「いえ……セレネーラ!!」


青い光をまとったブラッキーだった。

 

 


序章「セレーネ」 -完-

 

~あとがき~

ということで、自作ポケモン小説「POCKET MONSTERS -BLACK FOREST-」、始まってしまいました。ここまで読んで頂きありがとうございます。何とこの物語、2015年に書かれたものになります。読みやすいように一部修正を加えていますが、ほとんど当時書いたものそのままです。小説と言いつつも、ほとんどがセリフなので小説と呼べるか怪しいですね。完全に黒歴史なのですが、正直自分でも「結構面白くね?」と思ってしまうのが悔しいです。ただ、書いてる途中で案の定飽きたようで、4章の途中までしか書かれていませんでした。続きを公開するかどうか、公開したとして4章以降をどうするかは皆様の反応次第と言ったところです。(このブログのコメントやTwitterで感想とか頂けるとアレックスが跳び上がります。) それでは、またどこかでお会いしましょう。